5月、私の関東勤務の時間はもう僅かかもしれないから最後に楽しい釣に行かないか?
その誘いに二つ返事で答えてくれた旧友。
別の友人から増水してからの平水に戻る直前でコンディションが良いと聞いていたので、今回は場所は栃木の某川に決めた。
一度彼とは約25年前にルアーで釣りをした事がある川である、同時はお互い独身で朝早くから釣りをして瀬からヤマメが飛び出してきた記憶が鮮明に残っている。
旧友との釣りは楽しかったあの時間がそのまま止まっている。四半世紀前、それがつい数年前の様に感じるから不思議だ。
朝5時にゆっくりと自宅を出て。
釣り場に到着したのは8時前、近くの商店で釣り券とコーヒーを買いポイントに向かう。
見覚えはあるけど?ここだっけ?
明確に覚えていないのも当たり前。
旧友の記憶の中では四半世紀前のたわいもない釣の1日、その川の道など覚えていなくても当然といえば、当然である。
彼の記憶が繋がったのは、森のなかの駐車スペース。私がふざけて荒っぽくランクルのバンパーを大木にぶつけて停車したのを彼は覚えていたのである。
「あれ?あっ!ここだ!!(笑)」と運転席から笑い声が溢れる。そして楽しい釣の続きが始まる。
開始早々、まずは旧友がヤマメをキャッチした。なかなか釣に行けない彼の為に釣らせてあげようと先行させてるのに、まだいるから私に投げろと合図する。
白泡の切れ目に14番のパラシュートを落とすと、さっと魚影が浮いてきた。
スパッと反転するタイミングでアワセが決まった。
8~9寸ほどの良いヤマメだった。
シャープな走りを味わいながらネットイン。
こんなのが釣れたら私の釣りはもう満足。
再度、旧友に先行を譲り後から拾って行く。
水豊かで天気も良い。
数日前までの渇水の跡が残っているが。
良い場所からはヤマメの反応はある。
すぐにまた旧友がヤマメを追加。
魚が小さいとか何とか文句を言いながらも嬉しいに決まっている(笑)
私もまた追加。
深いプールの底からスパッと出てきた。
その後も飽きない程度にヤマメは釣れて、二人して夢中になって釣っていたら午後2時近くになっていた。
ちょうど川の横に蕎麦屋が見えたから。
釣の格好だけどいいか?と聞いてみたら、待ちますけど良ければどうぞと。
目の前の窓ガラスからさっき釣りをしていた川が見える。そんな蕎麦は旨いのは当たり前で最高の一時であると言えよう。
25年前は蕎麦屋などこんな場所にはなかった。もちろんその頃の我々は好き好んで蕎麦を食べる事もなかっただろう?
前に来たときは、なに食べたか?
それは私も彼も覚えていた。
私がもってきた冷めたホットドッグを真っ二つに割って、川原で食べたのだ。
たぶん美味しいと呼ぶにはほど遠い味だったとは思うが、彼はそれが旨かったという。
私も普段は思い出す事などない、その時の味という記憶が蘇ってきたから不思議だ。
もし、次に来るのがまた25年先で、高齢者になっていて、私達はこの蕎麦の味を覚えているだろうか。
夕方、イブニングを狙おうなんてやってみたが、午前中の様には釣れず、早々と切り上げて帰り道のラーメン屋に飛び込んだ。
そして仕上げは温泉。
ゆっくり風呂に沈んで。
最高の時間を過ごした。
次は25年と言わず来年くらいに。
何とか仕事の異動もなくもう少し運命は私に時間を与えてくれたようだ。
東洋式疑似餌釣研究所
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