天空のレインボートラウト


 「今週末は台風の豪雨で本流の釣りはダメだ、どうする?」
今から20年前、仲間からの電話で物語は始まる。なら○川はどうかな?×沢はどうた?という話の中で、そうだ、釣れるかわかんないけど、気分を変えて湖に行こう!
そこで決まったのがこの湖だった。
それからの怒涛の釣行数でここのレインボートラウトを釣って行くことになるのだが、その中で、より遠くのライズ、よりセンシティブに狙うスプーンの釣りを試行錯誤して行く事になる。

空に近い湖のニジマスは背中がブルーになる。それをアングラー達はブルーバックレインボーと呼ぶ。今でこそルアーマンはたくさん来るようになったが、当時はフライマンと餌釣りがほとんどでルアーを投げている人を見かける事は少なかった。
私の得意とする3㌘のスプーンを使いライズをウルトラライトのロングロッドで狙う釣りはこの湖で生まれたのである。
そして、2003年秋を最後にしてこの湖に足を向ける事はなかった。
時は流れて2018年、15年ぶりにこの湖を訪ねてみた。
場所は群馬県、六合村にある野反湖である。 
湿原にあった沼をダムで塞き止めた人造湖なのだが、標高1500㍍を越えるこの地の景観は我々アングラーのみならず多くの登山者、キャンパーを魅了する。
 夜明けの時刻に湖畔に到着。
澄んだ空気、深く青い空、それはあの頃と何も変わらない。
 しかし遊歩道は整備されていた。
チップを敷き詰めた舗装はずいぶん歩きやすく感じた。
 きっとここは天国なんだろう。この世とは思えないほど美しい湖畔の景色だ。
しかし かつての釣りかたでは答えが出なかった。。

渇水と高水温でレインボー達は沈んでしまったのか、反応を得ることが出来なかった。
一番の間違いは時期が遅いことだろうけど、急深のラインを狙えばチャンスはあるはずだ。
あるにはあった。
かわい過ぎるレインボーの幼魚がスプーンに付いてきた。みんなにヤマメ?って言われたけど、ニジマスにも小さな頃はパーマークがあるんだ。
 アンサー6㌘ 最近使い込んできて、このスプーンのコツみたいなのが何かわかってきた。
うまくは言えないけれど、ちょうどいいスピードを見つけると規則的なピッチの中でリズムが崩れるところがある。
それを見つけるのが、今は楽しい。  

 小さな流れ込みの近くにいたイワナ。 
小さくてもイワナはイワナだと、言いたげな目で私を睨む。
 
15年近くブランクが空いてるから今の事情や釣かたは全くわからない。
しかし、それでもいい。
九州に行ってから、この湖にもう二度と来ることが出来ないと思っていた。
 何時も夢に見ていた天空の湖、そして天空のレインボートラウト。
 
焦る事は何も無い。
急ぐ必要など何処にもない。
また来ることが出来たのだから。
何時かまたあの素晴らしい魚達を手にする日が来る事だろう。
まだ日が高い湖を残して、帰ることにした。
 秋になれば緑の山は、紅色に染まる。
そしてレインボートラウト達は、またシャロー集まってくる。
その時また此処に来る事を夢見ている。

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東洋式疑似餌釣研究所

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